1on1導入企業3選! 導入背景から成果までを紹介

アメリカのシリコンバレーで始まった1on1ミーティングですが、2017年にはその取り組みや効果を紹介した書籍が日本で出版され、大きな話題を呼びました。

そこから日本でも広がりを見せ、いまや全国各地、大企業のみならず中小企業でも続々と導入されています。

では、1on1ミーティングは日本ではどのような企業にどのような形で導入されているのでしょうか。3つの導入企業事例を見ながら、導入成功の秘訣を探ります。

1on1導入企業の事例3選

今回紹介するのは、以下3社の企業事例です。

  • ヤフー株式会社
  • 株式会社ジェイアイティ
  • 株式会社ロッソ

【ヤフー株式会社】1on1導入企業の代表格


日本で有名な1on1ミーティング導入企業といえばヤフー株式会社でしょう。

ヤフー株式会社では、1on1ミーティングが日本で話題になるよりも、かなり前の2012年から導入しています。その取り組みを紹介した書籍も2017年に発売され、まさに日本における1on1ミーティング導入の先駆けといえるでしょう。

それまで同社では隣席同士でもメールなどを介しての会話が多く、対面のコミュニケーションは少ない現場だったそうです。そのような状況を改善する施策として1on1ミーティングを導入しました。

なお、同社では上司側のコーチングスキル育成のため研修を実施したり、効果的に1on1ミーティングを実践していくためのガイドラインを作成したりと、ただ実施するのではなく現場をフォローする体制も整えています。

その結果「社員の才能と情熱を解き放つ」という、人材育成の基本方針を実現する施策の一つとして定着。上司と部下のコミュニケーションが活発になることで、部下のやる気にもつながっています。

現在も効果的な成長支援策として、約7000人という社員を抱えながらもほぼ全社員において実施、継続されています。

【参考】
ヤフーはなぜ6000人の社員を巻き込む「1on1ミーティング」を続けるのか?/ダイヤモンドオンライン
「1on1ミーティング」で強い組織をつくる 人材育成のための部下とのコミュニケーション/ヤフー株式会社 Corporate Blog

【株式会社ジェイアイティ】ローカル企業の導入事例


導入企業は大企業ばかりではありません。約50人のスタッフに1on1ミーティングを導入した、株式会社ジェイアイティの事例を紹介します。

株式会社ジェイアイティは徳島県下で携帯電話販売店を展開し、四国でもトップクラスの販売を誇る店舗を抱えています。

対面接客がメインの業務となるため、現場の上司側としては、スタッフのメンタル面のフォローが重要な責務になります。これまでも面談は実施されていたものの、どうしても上司が一方的に話してしまったり、前回までの面談内容が反映されていなかったりと、コミュニケーションとしてはぎくしゃくしたものになってしまっていました。

そこに新型コロナが直撃し、お客様はおろかスタッフ間でのコミュニケーションさえ難しくなってしまったのです。

そこで、解決の糸口として導入されたのが1on1ミーティングでした。まずは事前に上司側へ導入の内容や目的をしっかり周知・共有。スタッフのやる気を上げるという目的が現場の共通認識になり、1on1ミーティングへの理解が広まった上で開始しました。

その結果、上司と話す時間が増えたことで、スタッフから上司への信頼度もアップ。業務経験豊富な上司と話すことで仕事への理解が深まり、自身の成長を実感できたという声も上がるようになります。

また、1on1ミーティングの内容を記録し、共有することで、管理職側でもスタッフ一人ひとりの状況を把握できるようになったといいます。上司が一方的に引っ張るのではなく、スタッフそれぞれの自走力を上げるきっかけとなっているのです。

【参考】現場スタッフ一人ひとりが生き生きと働けるように。1on1ミーティングを通して、変化に強い店舗を育てる/TeamUp MAGAZINE

【株式会社ロッソ】ふだん離れているからこその1on1ミーティング導入


取引先にエンジニアが常駐するSES(システムエンジニアリングサービス)事業を展開する株式会社ロッソ。その業務内容の特性から、エンジニアである社員と本社に勤務する上司が直接顔を合わせるのは1年にわずか2回程度でした。

意思疎通どころか、簡単な会話すらできない状況では、お互いの信頼関係を築くことは容易ではありません。気がつけば退職者が若手だけでなく中堅社員にも広がり、1年間で20名近くになっていました。

そんな中、少しでも状況を改善しようと導入されたのが1on1ミーティングです。ただし、全部署で同時に開始したわけではなく、まずは管理職向けに導入説明を行い、実施頻度や時間は各現場に任せる、というスタート方法をとります。そこからじわじわと定着し、今は社内の8割にまで1on1ミーティングが広がっています。

また、日々の業務の中での小さな成功やアイディアを上司に伝えることがエンジニアの満足度向上にも貢献。膝を突き合わせて会話する機会が増えることは信頼関係の構築に重要であることを管理職側も再認識しました。結果、導入から1年で、退職者は前年の半分にまで減少。一方で組織としての拡大・増員にも成功しています。

全社員に1on1ミーティングが実施されるのも目前です。今後も組織としてさらなる発展が期待されます。

【参考】客先常駐スタッフとマネージャーの信頼をつなぎ、離職率低下に貢献した1on1ミーティング/TeamUp MAGAZINE

日本でも広がる1on1ミーティング導入企業


前述のとおり、1on1ミーティング導入の先駆けともいえるヤフーは2012年から実施していました。その取り組みを紹介する書籍の発売もあり、2017年以降、導入企業は日本各地でどんどん増えています。

例えば、パナソニック、楽天、ソニーといった大手企業だけでなく、モノタロウ、クックパッド、スペースマーケットといった急成長している中小企業でも導入されています。

あるコンサルティング会社によると、1on1ミーティング導入依頼の相談件数は、2018年だけで53件。2015年と比較すると、わずか3年で7倍もの増加だといいます。

さらに、2019年も新年度開始から間もない4月末までに49社からの相談があったそうです。

急激に導入企業が増えているその理由とは


ここまで急激に導入企業が増えている背景には、新しいコミュニケーションの方法として1on1ミーティングが注目されているからだといえるでしょう。終身雇用制が崩れ、人材市場も流動的になっている昨今、組織としても優秀な人材の確保は重要課題です。

社外での飲み会や喫煙所での会話といった場面がすっかり見られなくなった今、効率的なコミュニケーションツールとして考えられているのが1on1ミーティング、といって良いでしょう。

部下一人ひとりの悩みや考えを知り、成功体験を共有する。直属の上司と直接コミュニケーションがとれる環境は、部下にとっては大きな安心感を与えます。その安心感は、組織への満足感にもつながります。

そこからそれぞれのキャリアプランをつくり、ゴールに向かって共に試行錯誤を繰り返しながら邁進する。気付けば、その過程は部下自身の仕事力を上げることにつながり、部署内に活力があふれ、最終的には組織力の向上につながっていきます。

導入に成功している企業に共通するのは、このサイクルともいえます。

既に導入している企業のマネをすればいいわけではない点に注意


通常の評価面談のように、上司側が会話の主導権を握って業務内容の一方的なフィードバックを行うだけでは、1on1ミーティングは失敗してしまいます。部下を育て、そのポテンシャルを発揮させるところに1on1の本質はあるのです。

ヤフーのように、上司側へコーチングスキル研修を行うことや、ジェイアイティのように全スタッフに1on1ミーティングの目的をしっかり周知するなど、現場への継続的なフォローも大切です。

また、導入後に想定していなかったトラブルが発生することもあります。はじめにつまずいたから失敗、と判断するのではなく、自分たちにふさわしい1on1ミーティングのやり方を探していきましょう。

目指すべきは自分たちらしい1on1ミーティング


名だたる企業が導入している社員育成法、1on1ミーティング。しかし、大企業だけが成功する方法ではありません。規模は問わず、社員同士の顔が見える企業こそ、成長し続ける企業といえるでしょう。

導入企業の事例は様々あります。成功している導入企業のやり方をそのまま取り入れるのは簡単ですが、企業の規模や社風、1on1の目的によってはリスクも出てきます。

成功している企業はなぜ導入したのか、自分たちはどうして導入したいのか、その目的をはっきりさせてから取り組みましょう。そして、上司側のフォローだけでなく、社員の意見を聴くことも忘れずに、実践を続けてみましょう。

今回紹介した多様な企業の導入事例を参考に、自分たちらしい1on1ミーティングをつくっていきましょう。導入企業の成功例として皆さまの組織が紹介される未来も遠くはないかもしれません。