1on1ミーティングの目的とは? 4つの目的と導入上の注意点を解説!

ビジネス用語として市民権を得つつある「1on1ミーティング」。ヤフーやパナソニックといった名だたる企業で導入され、成果を上げている手法です。この記事をご覧いただいている方の中には、1on1ミーティングの導入を検討されている経営者や人事担当者の方もいるかもしれませんね。

そのような方に、まずご注意いただきたいこと。それは1on1ミーティングを実施する「目的を明確にしておく」ということです。目的が不明瞭な状態で1on1ミーティングを導入しても、思うような成果が得られないばかりか、組織を疲弊させてしまい逆効果になってしまう事態にも陥りかねません。

そこで今回は、1on1ミーティングを実施する目的や、実施する上での注意点について解説します。

1on1ミーティングを実施する「4つ」の目的について


1on1ミーティングの目的は、以下の4つに大別することができます。

  • 目的① 信頼関係を築く
  • 目的② 部下の問題解決力や業務遂行力を鍛える
  • 目的③ 部下の働くモチベーションを高める
  • 目的④ 組織目標と個人の目標を連動させる

目的① 信頼関係を築く

コミュニケーションを通じて、上司と部下の間で信頼関係を築くこと。これは1on1ミーティングを行う主目的とも言えます。

現在はビジネス向けチャットツールやウェブ会議ツールが浸透しているだけでなく、昨今のテレワーク環境に加え、業務終了後の懇親会も敬遠される傾向があります。ですので、かつてに比べ、上司と部下の対面でのコミュニケーションの機会は減りつつあります。

このようなケースで考えられる代表的なリスクは、コミュニケーションの齟齬から不信感が募ってしまうことです。業務中に小さな違和感や認識のズレが生じたとしても、どちらかの指摘がなければそのズレや誤解は残ったままになってしまいます。ひとつひとつは小さなズレでも、蓄積した結果、互いに対する不信感が生まれてしまうことも少なくありません。

そのような状況を回避するためにも、まずは管理職側と部下との間にしっかりとした信頼関係を築き上げることがビジネスにおける人間関係の基本となります。

対面でのコミュニケーションが全てではありませんが、信頼関係を構築する上で、対面でのコミュニケーションはいまでもなお有効な方法であることは確かです。

目的② 部下の問題解決力や業務遂行力を鍛える

1on1ミーティングの2つ目の目的は、部下の問題解決力や業務遂行力を鍛えることです。

通常の面談は上司のリードで進んでいくことが多いでしょう。しかし、1on1ミーティングでは部下自身が主体となり、課題設定や意思決定を行います。このプロセスを通じ部下が試行錯誤することで、自分の頭で考え行動する力を育むことができます。

したがって上司側には、解決策をすぐに提示するのではなく、できる限り部下の試行錯誤に委ね、アイデアを尊重し、能力を引き出すような姿勢が求められます。周りが助けているばかりでは、部下自身の対応力は向上しません。1on1ミーティングによって、部下が自分自身と向き合い、気づき、解決していく力を身につけることが何よりも大切なのです。

しかしながら、新入社員、経験の浅い若手社員などの場合には、何をどうやっていいのか見当もつかない、といった事態に陥ることもしばしばあります。そのような場合には「こういう行動をしてみたらどうか」、「こうすれば解決できるのでは」といった、経験談やアイデアを教えることも必要になります。

目的③ 部下の働くモチベーションを高める

部下のモチベーションを高めることも1on1ミーティングの大きな目的です。仕事のことだけでなく、プライベートのこと、平素の雑談などが業務上の相談につながり、目標達成や問題解決に至るも多々あります。個人の大切にしていること、価値観など、本人のモチベーションに影響するような出来事を、忌憚なくざっくばらんに話せるように心がけると良いでしょう。常に、部下に寄り添う姿勢が大切な要素となります。

目的④ 組織目標と個人の目標を連動させる

最後に「組織の目標と個人の目標の紐付けを行うこと」で、業績につながるアクションを施すことができます。組織の目標を達成することは、同時に自身の目標を達成することにもつながるんだ、と部下が認識することで、最も優れたパフォーマンスを発揮すると考えられているからです。

そのため、1on1ミーティングでは部下のありたい姿を明確にすることや、会社でのキャリアプランを考えること、組織目標と個人の目標を連動させることを主な目的として行います。なお、評価面談でも同様のことを実施する場合もありますが、1on1ミーティングではより一層「部下の育成」にフォーカスする形で実施します。

1on1ミーティングを実施する上での「3つ」の注意点


これまで説明したように、1on1ミーティングの目的は信頼関係を構築し、モチベーションを喚起し、成長を促すことにあります。この目的を達成するために、とくに重要な注意点があります。

それは、以下の3点です。

  • 注意点① 上司が会話をリードしすぎない
  • 注意点② 1on1ミーティングの目的や価値を組織内に浸透させる
  • 注意点③ 最初は部分的に導入する

注意点① 上司が会話をリードしすぎない

1on1ミーティングの主体は部下です。ですがせっかく部下が話をしているのに、途中で腰を折ってしまったり上司自身の話にすり替えてしまったりすることがしばしば見られます。

その結果、部下は不信感を持ち、信頼関係を築くどころかコミュニケーションすらとらなくなってしまうかもしれません。部下自身に話してもらう、という基本原則を決して忘れないでください。

上司側が「話を引っ張ってしまうようなことがあれば指摘してほしい」と部下に依頼する点を定型化することも有効です。管理職としての話は評価面談などで行うなど、しっかり線引きを行ってください。

注意点② 1on1ミーティングの目的や価値を組織内に浸透させる

ただでさえ忙しい毎日に、また新しいミーティングが加わるとなると、お互いに尻込みしてしまうかもしれません。お互いが前向きに取り組めるよう、1on1ミーティングの目的を組織内に浸透させておくことが部下と事前に共有しておくことが大切です。

上司の方には、以下の内容がしっかり伝わるようにしましょう。

  • 部下とコミュニケーションをとることで信頼関係が生まれ、円滑に業務が遂行できること
  • 部下がなんでも相談しやすくなり、仕事上の大きなトラブルを避けられやすくなること
  • 部下が主体となるプロセスにより、部下の成長につながること

また部下の方には、次のような内容をしっかり伝えることが大事です。

  • 上司に叱責されたり査定されたりするような場ではないこと
  • 仕事上の相談がしやすくなり円滑に業務が進められるようになること
  • 自己の成長にもつながること

注意点③ 最初は部分的に導入する

1on1ミーティングの導入は、いきなり全社的に行うのではなく、部分導入をおすすめします。ミーティングの回数や話題の振り方など、組織の風土にあったスタイルになるよう微修正するためです。

また、部分的に導入したチームのパフォーマンスが上がることを立証してから横展開したほうが、1on1ミーティングの目的や価値が浸透しやすいことも大きな理由です。

上司に求められる「2つ」の必須スキル


最後に、1on1ミーティングの目的を実現するために、上司に求められる必須スキルを2つご紹介します。

そのスキルとは、次の2点です。

  • ①傾聴スキル
  • ②最低限のコーチングスキル

スキル① 傾聴スキル

傾聴とは、文字どおり「相手の話に耳を傾けて聴くこと」です。部下の話に相槌を打ったりしながら、相手の思うことや考えをしっかり理解し受け止めます。1on1ミーティングではとくに重要なスキルになります。

経験豊富な上司の方にはありがちなのですが、ついつい「そうなんだね、でも私はこう思うんだけど」と、自分の意見にすり替えてしまうものです。もしくは、話の途中で相手の言わんとしていることを決めつけてしまうこともよくあります。しかしそれは傾聴とは言えません。

相手の意見や考えを決めつけたり否定したりすることなく、しっかり集中して聴くことが重要なのです。

しっかり上司が傾聴できると、部下は「自分の話をしっかり聴いて理解してくれる」という安心感を持ち、上司を信頼するようになります。信頼関係が構築されることで、より率直で正直な意見を交換できるようになり、1on1ミーティングに安心感と実効性が生まれてくるのです。

スキル② 最低限のコーチングスキル

相手のアイデアを引き出し、今までになかった視点を気づかせるような「コーチング」のスキルも必要です。

1on1ミーティングは、部下が自身で課題に気づき、課題解決していこう、という意識とその解決力を身につけることを目的としています。そのため1on1ミーティングで特に求められるのは、上司自身が問題の解決策を見極め、的確に指示する能力ではありません。部下自身が意思決定できるように支援する「コーチングスキル」こそが重要なのです。

小さく試しながら1on1ミーティングで成果を出そう


今回は1on1ミーティングの目的について解説しました。

1on1ミーティングの主な目的は、上司と部下の間に信頼関係を構築し、部下の成長を促し、部下のモチベーションを高め、組織と個人の目標を連動させることです。

慣れないうちは組織内で反対意見が出ることや、思うような効果が得られないことが想定できます。そのためいきなり全社的に導入するのではなく、部分導入をしてトライアンドエラーを繰り返しながら組織にあった形に最適化していくことをおすすめします。