スキルマップの作り方8ステップ|人材育成と人事業務の効率化ツール

スキルマップを活用して人材育成、人事評価、そして採用業務を効率的、かつ的確なものにしていきませんか?人事業務をあらゆる側面からサポートしてくれるツールです。

企業の人事評価のあり方は今や、従業員の離職や定着を左右する要素のひとつです。従業員の流動が激しいほど、人事が個々のスキルや習熟度を把握するのも難しくなるでしょう。

ここでは、スキルマップの作り方を8つのステップに分けて詳しく解説します。作成にあたってのポイントや注意点も挙げていますので、ぜひ参考にしてください。

スキルマップは何に役立つのか?

スキルマップとは、業務遂行に必要なスキルと従業員のスキルをまとめた一覧表です。現代企業が抱える人事面のあらゆる課題解決にも有効な役割を果たします。

人事評価ツールとしてだけでなく、自社に不足しているスキル、従業員のスキルの伸び悩みなどの解消にも役立ちます。

では、スキルマップが役立つ場面を具体的に見ていきましょう。

適材適所の人員配置の確度が上がる

スキルマップがあると、人事は従業員が持つスキルとそのレベルを把握できます。これにより、人事異動や人材を抜擢する際にも適材適所の配置が可能です。個々の強みや特性を活かす組織作りができます。

各従業員も組織内で自分のどのスキルがどの程度と評価されているかを認識できるため納得度も高いでしょう。また、各従業員の得意/不得意が客観的に分かると、特定の業務において頼りになる人/フォローが必要な人がすぐに把握できるのもメリットです。

採用や人事施策検討の効率化

スキルマップによって、自社全体で不足しているスキルもすぐに分かります。採用の際に不足するスキルに重点を置いて人選すれば、効率的な人材確保が可能です。研修などの人事施策のテーマを検討する際にも、今、どのような教育や施策が必要かを知る有効な情報になるでしょう。

従業員のモチベーションアップ

スキルマップは分かりやすく評価しやすく作成できれば、個人での活用も可能です。人事が組織全体を見るように、従業員も個人で不足しているスキルや目標となる指標を明確に把握できます。目指せる次の段階が見えることは仕事に対するモチベーションを高めてくれるでしょう。

自社に必要なスキルの向上

スキルマップにスキル項目を挙げることは、従業員に会社が求めるスキルを伝えることでもあります。従業員は会社が求めるスキルを明確に把握できますから、そのスキルを伸ばすことに注力しやすいでしょう。スキルが向上すれば評価も上がるため、頑張りに対する手応えややりがいも増し、従業員エンゲージメントの向上も期待できます。

企業のリスク管理にもなる

上記で不足スキルの把握、適材適所の確度の向上、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上などを挙げました。これらは、視点を変えると人手不足による従業員の負担増や離職を防止など組織のリスク管理にもなります。また、組織力や競争力の強化にもつながっていくでしょう。

スキルマップ導入のポイントと注意点

では、スキルマップを導入する際に気を付けたいポイントや注意点を解説します。

経営・人事・管理職・現場の従業員が作成に関わる

スキルマップは、人材育成に有効なツールとして広く認識されています。そのため、作成を担当するのは「人事」となりがちかもしれません。

しかし、人事だけでは把握できる現場の業務内容は限られるため、必要なスキルを的確に抽出できないことがあります。この点をもっともカバーできるのは現場を率いる上司層でしょう。経営戦略や展開する事業にスキルを伴わせる必要性を考えれば、経営陣との意思疎通も重要です。

人事は、現場と経営層の間で調整を図っていく必要があります。成果につながるスキルマップを作成するには、全社一体で協力・連携していくことが大切です。

抽象的な項目はできるだけ細分化/具体化する

求めるスキル項目を書き出していると、抽象的な言葉が出てくることも少なくありません。抽象的な項目に対する評価判断には、評価者の主観が入りやすくなります。人によって判断が異なる評価が下されれば、公平な評価とは言えなくなるでしょう。

例えば、コミュニケーションスキルやマネジメントスキルは色々な側面を持ちます。これらの抽象的な文言だけの項目に対して評価しようとすると、人によって見るポイントや角度が変わってくるものです。

このような場合は、何がどの程度までできるという具体的な複数の項目に落とし込んでみてください。

例:

コミュニケーションスキルの場合
顧客と社内技術者との意思疎通を助け、スムーズな交渉ができる
顧客の話を傾聴し、有効な提案につなげることができる
マネジメントスキルの場合
担当部署において的確な計画を立案し、目標を達成できる
部下の資質や能力、業務状況に応じた適切な業務の割り当てができる

このように細分化した項目を設けることで、主観の介入を防ぐとともに公平な評価も可能になります。

スキル項目をどの程度まで細分化するかを統一する

スキルマップ作成の際にはスキルの洗い出しが必要ですが、どの程度(項目数)まで細分化するかは、各部署で統一しておくのが賢明です。

上記でお伝えしているように、抽象的な言葉でまとめ過ぎると評価しにくくなります。その一方で、細かくするほど当然、項目数は多くなり、多すぎれば活用段階で扱いにくいものになってしまうのです。

評価者の意見や成果の程度を見ながら、適切な項目数に留めてください。また、必要スキルのすべてを網羅しようとせずに、8割程度をクリアする意識で選抜するといいでしょう。

導入時は、全社員に共有する機会を持つ

スキルマップ導入の際には、従業員にスキルマップの活用について伝える機会を確保することが大切です。管理職層については、現場のスキル抽出の確度を上げるために事前にワークショップなどを実施して理解度を深めてもらいましょう。

スキルマップは、人事/上司が活用する人事評価ツールとしてだけでなく、個人の目標管理ツールとしても使えます。従業員にも活用方法を研修しておけば、目標を意識する頻度が高まり成果もさらに上がりやすいのではないでしょうか。また、定めた評価基準については全社員に公開し、人事評価の公平性、透明性、納得度を確保しましょう。

更新は必須・現状を踏まえてブラッシュアップ

事業内容や業務フローが変われば、求められるスキルも変わってきます。スキルマップは定期的に更新し、常に現状にフィットする内容に編集・修正しましょう。修正時期と管理担当者を決めておくことをおすすめします。

スキルマップは、はじめの作成にはかなりの時間と労力を要しますが、一度作成してしまえば、更新はそれほど大変な作業ではありません。

【8ステップ】スキルマップの作成手順

では、ここからスキルマップの具体的な作成手順を解説します。

大きく括ると「スキル項目」「評価基準」「評価方法」の決定が必要です。

多くの企業に活用されているスキルマップですが、さまざまな書き方があり迷われる方も少なくありません。見本や書式例を参考にしつつも、自社事業や業務フローを十分に反映させたスキルマップを作ることが大切です。

以下の8つのステップに「自社」の内容をあてはめながら、最適なスキルマップを作り上げてください。

1. スキルマップを導入する目的の明確化

スキルマップを作成する前に、その目的を明確にしておくことをおすすめします。目的次第で挙げるスキル項目や評価方法などが変わる可能性があるからです。あいまいなままで作成を進めると、到達地点の定まらない=成果が見えないスキルマップになりかねません。

一例を挙げると「従業員のスキル強化」「組織のスキルの底上げ」「業務効率化」などが考えられます。目的は以降の作成ステップの指針となるものですから、はじめに明確に把握/共通認識を持っておきましょう。

2. 社内業務と必要スキルを洗い出す

社内業務を洗い出し、業務を進めるために必要とされるスキルを挙げます。業務遂行に必須のスキルはもちろんのこと、人材育成の観点から従業員に伸ばしてほしいスキルもあるでしょう。まずは、網羅的に出しておき、単純作業などから徐々に削っていく方法がおすすめです。

どのスキルを必要とするかの判断が、業務の品質とスピードを確保するにも、スキルマップを導入したあとの成果にも大きな影響を与えます。的確に判断するためには、主要業務から関連業務の業務フローを把握していなければなりません。各部署の現場業務に精通した管理職や担当責任者の協力が不可欠でしょう。

3. スキル項目や階層の設定

2のステップで挙げた必要スキルをスキルマップ用に落とし込む作業に入ります。作成する上で最も大変な作業といえるかもしれません。体系化する作業です。分類や階層などをどのように一覧化するかは、業種や職種によって使いやすい書き方が異なります。

製造業はスキルマップを活用する企業が多いですが、製品カテゴリーや製造工程などで分類する方法があるでしょう。営業職の場合は、ヒアリングやクロージング、タイムマネジメントなど能力的な項目で分類されることも多いようです。

全業種・職種で言えることですが、各項目で使用する表現に迷うときは、ぜひ、目的に立ち返って考えてみてください。具体的でイメージしやすい文言で表現しつつ、適切な項目数に抑えることも考慮しながら挙げていきましょう。

4. スキルレベルと評価基準を設定

次に、どのような評価を下していくかを決めます。スキル項目に対して「できる」「できない」の2択にすることも可能ですが、3~6段階のレベルを設定した段階評価もおすすめです。

段階を持たせることで、評価時点の習熟度合いまで把握できますし、現在地が明確になるため従業員のモチベーション喚起にもなるでしょう。ただ、レベルの数が多すぎると評価作業が煩雑になってしまいます。一般的な4段階の一例を見てみましょう。

レベル1 指導が可能なレベル
レベル2 一人で完了できるレベル
レベル3 指導があれば完了できるレベル
レベル4 その業務の補佐ができるレベル

数字での評価すると総計が出しやすいのがメリットです。数字表記のほかにも、アルファベットや〇△などの図形を使う方法もあります。

5. 一部で試験に導入し、意見を回収・反映

作成後、本格的な導入の前に社内の一部で試行してみましょう。一通り試すと高い確率で、修正や改善したほうがいいポイントが見つかります。

試行後に、関係者にヒアリングして不足やムダがないかなどの情報を集めましょう。集めたフィードバックをスキルマップに反映すれば、より自社にフィットする使いやすいマップになります。そのあとに本格的に導入すれば、不要なトラブルや滞りも少なく進められるはずです。

6. 運用/活用マニュアルの作成

本格的に導入するスキルマップが固まったら、マニュアルを作成しておきましょう。スキルマップ導入の目的、使い方、評価基準などを盛り込みます。企業が抱える課題に対するスキルの現状や目標水準も記載しておくことが大事です。

ほかに、スキルマップの評価者や管理者、更新スケジュールなどの情報も記載しておくおことをおすすめします。スキルマップの更新内容に応じて、マニュアルの変更も必要です。このマニュアルを共有して、スキルマップ活用についての理解を深めてもらいましょう。

7. スキルマップ研修の実施

マニュアルを共有するだけでなく、ワークショップや研修を実施することも重要です。使い方の解説、目標達成に向けた活用方法、評価方法や評価フローなどを、直接説明する機会をぜひ設けられることをおすすめします。

ワークショップや研修の中では、活用する従業員の疑問や意見を収集することも可能です。直接のコミュニケーションによって、その場で解決できることも多いですし、認識の不一致なども防げます。

運用前にスキルマップとの接点を持つことが、活用する意義を理解することにつながり、よりスムーズな導入ができるでしょう。積極的に活用していこうという意欲も高めてもらえるのではないでしょうか。

8. 整ったスキルマップを本格的に導入・評価

運用するスキルマップが完成し、研修の実施もできたところで本格的な導入・評価に入ります。誰が評価するかは、自社の方針を明確にして伝達しておくことが大切です。

人事評価に紐付ける場合、現場の管理職(上司)が評価者になることが多いですが、そうでない場合もあります。以下のようなパターンがあるので検討しておきましょう。

・上司が部下のスキルを評価・記入
・本人の記入後、上司が評価・修正
・本人の記入後、上司が評価・修正し、決定は第三者(人事など)

また、どのような評価ツールを用いるかについても選択肢は一つではありません。
エクセルでの管理のほか、専用システムを使っている企業もあります。

最適なスキルマップの有効活用で課題解決

スキルマップは、企業の効果的な人材育成や業務効率化をサポートしてくれるツールです。最初の作成には時間がかかりますが、アップデートしながら活用し続けられます。

その投資時間は、自社全体のスキルアップと効率化をもたらしてくれるでしょう。人材育成や人事業務上にあるさまざまな課題解決に向けて導入を検討されてみてはいかがでしょうか。