プロセス評価が求められている理由とは | 導入の目的やポイント、概要

プロセス評価

プロセス評価が求められる理由

プロセス評価は成果ではなく過程、プロセスを評価する手法です。成果を重要視することの多い昨今、プロセスを評価しようという動きが再燃しています。しかし欧米にならって成果に着目していた企業が、なぜプロセスに注目し始めたのでしょうか。

公務員による不正

近年プロセス評価の需要が高まっています。背景には短期的な成果を追い求めるあまり、価値の低い成果を増やしてしまったことが関係しています。事実、民間企業にとどまらず公務員までもが不正を働いていると報道されています。厚生労働省による不正もこの例に漏れません。

 厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の調査手法に不正があったことが判明し、大きな波紋を広げている。組織的な隠ぺい工作が行われていたとの疑惑もあり、このまま“幕引き”では済まされない事態といえる。
http://news.livedoor.com/article/detail/15941506/

国の中枢機関ともいえる官僚でなぜこのような問題が発生したのでしょうか。

成果を追い求めた結果

厚生労働省による不正は「調査を行う」結果のみに注目したことが原因だと考えられます。多忙を極める調査において、時間をかけずに成果を出したかったのでしょう。それが幾度となく行われたことにより、今回の問題にまで発展したのではないでしょうか。

成果を出せば評価されるので少しぐらい間違っていても成果を出そうとし、問題が肥大化していったと分析できます。この問題の解決策は成果ではなく過程に注目した評価、すなわちプロセス評価にあるでしょう。適切な順序・やりかたを評価すれば、中身の伴った成果を期待できます。

以下ではプロセス評価の概要や目的、導入のポイントについて解説します。成果にフォーカスした評価方法で行き詰まっている御社も、プロセス評価が有効かもしれませんよ。

プロセス評価とは

プロセス評価はで利用される評価方法の一つです。結果になるまでの過程を評価する方法で、成果のみを評価する方法とは対極にあります。最近の評価制度は成果を基準にしたものが主流ですが、成果ばかりに目を向けているとさきほどの例のように実態のない成果を生み出しかねません。

成果までの過程を評価すれば、成果にいたった事例はもちろん成果にならなかった事例も分析できます。従来の評価方法ではわからなかった社員の努力もチェックできるので、頭ごなしに叱ることも減るでしょう。

コンピテンシー評価とは

コンピテンシー評価とは、仕事ができるひとの行動特性(コンピテンシー)を基準に評価する制度をさします。成果ではなく成果にいたる経過を重要視しているため、適切な途中経過を経た成果を期待できます。

プロセス評価の目的

プロセス評価の目的は努力が的確に反映されることにあります。成果を重視した評価は短期的な結果に注目しがちです。営業の場合だと契約をほしいがために押し売りをするケースがこれに当てはまります。

適切でない行動を防ぐには正しいプロセスであるかの判断が必要です。基準を途中経過に設けることで、今までは目に映らなかった努力も評価できるようになります。

平等な評価

プロセスが評価されればたとえ成果にならなかったとしても適切な評価を受けられます。正しい行動をこなしても対応した成果を得られないケースは多々あります。この場合成果主義だと数値を出していない社員は能力のないひと、あるいは努力していないひととしてみなされるでしょう。

プロセス評価を利用すれば、同じ過程をたどったひとは等しく評価を受けられます。たまたま機会が悪く成果を得られなかったとしても、行動自体を評価してくれるので社員が無駄に落ち込むこともありません。

モチベーションの向上

行動を評価してもらえるとモチベーションを保ちやすい傾向にあります。成果主義の現場ではどれだけ努力しても成果にならなければ褒められません。仮に間違っていない行動をしていても、褒められないどころが叱られてしまいモチベーションが下がりかねません。

それに対し行動を評価してもらえる場合は、たとえ失敗して成果にならなくても評価してもらえるので、次回もチャレンジしようという気持ちになれます。一度の挑戦でうまくいく事象はそうそうありません。長い目で見て良い方向に転ぶのであれば、直近の成果より行動を評価したほうが利益につながるでしょう。

長期的な視点育成

短期的な成果を評価されるわけではないので長期的な成果を狙えるようになります。成果を重要視した評価方法では、社員も短期間でいかに多くの成果をあげられるかに注目して努めます。これは後々の損失を顧みないので危険な状態であるといえます。

プロセス評価では直近の成果にとらわれずに行動できます。短期的な成果はもちろん長期的な成果にも目を向けて、もっとも会社に価値のあるアクションをとれます。社員の長期的視点も育てられるので一石二鳥といえるでしょう。

プロセス評価のポイント

プロセス評価は成果を中心にみる評価方法とは大きく異なります。そのため従来と同じやり方ではなかなかうまくいきません。プロセス評価を利用する際のポイントは、評価軸の行動を具体的に定めることと成果主義を適度に組み合わせることです。

成果主義とのバランス

プロセス評価を利用するときは成果に焦点を当てた評価方法と組み合わせましょう。プロセス評価はあくまで評価方法の一つです。他の評価方法と同様にメリットもデメリットもあります。そのため結果を評価する方法と組み合わせると、両者の良い面を引き出せます。

プロセス評価だけの利用では、社員が行動に移しても内容を改善しないケースが考えられます。この状態が続くと動きはするものの成果を生み出せない社員が出てきます。この現象を防ぐには成果に対しても一定量の評価をくだすようにしましょう。

重要度の順位付け

行動を評価することには変わりないのですが、どの行動を重点的に評価するか決めておきましょう。社員がいくつかの選択肢で迷ったときによりよいものを選ぶには、行動の順位付けが欠かせません。

順位付けは評価の点数にも反映させましょう。評価をポイントのような数値でカウントしているのであれば、順位が高いものほど点数の配分を大きくするべきです。社員が適切な行動をとればそれにしたがって多くの点数を付与します。なお優先順位は企業のビジョンと照らし合わせて決めましょう。

具体的な目標

パッと見てわかりやすい目標を立てましょう。「1ヶ月に○件訪問する」のような目標はアポイントを取得できなかった場合に評価が難しくなります。5W1Hにもとづいてどのように行動すべきかわかりやすく定めましょう。

適切な目標は後の振り返りも容易にします。どのような点で達成できどのような点で達成できなかったのか、またなぜ達成できなかったのかを分析しやすくするには具体的な目標設定が重要です。

データ化されないプロセスを評価

プロセス評価の概要や利用にあたってのポイントを解説しました。プロセス評価は成果主義を適切に活かすためにも有効な評価方法です。今まで見えていなかった努力や葛藤が可視化されれば、社員の声も自然に聞こえてくるでしょう。

透明化された改善点や評価すべき点は放置せずに対応しましょう。特に評価すべき点を適切に評価することで社員はモチベーションを保てます。

経営において数値的な成果を重視したい気持ちはわかりますが、データに表れない社員それぞれの状況を把握するように努めましょう。それができれば長期的プラスを手に入れられるでしょう。

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【令和版】評価制度の作り方
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