評価項目・評価基準はどう決める?基準を作る際のポイント5選!

評価項目と評価基準の設定は、人事評価制度を運用するうえで欠かせません。また設定する際には、ポイントを踏まえて決める必要があります。

当記事では、評価項目・評価基準の決め方に焦点を当て、基準を設定する際のポイントや、設定時の注意点を解説します。

最後に「評価項目サンプル」もご用意していますので、評価項目・評価基準の設定でお悩みの場合には、ぜひ参考にしてください。

評価項目は「4つ」存在する

評価項目は、従業員を適正に評価するために必要な基準を指します。

また評価項目の種類は「年功評価」「能力評価」「職務評価」「役割評価」の4つです。評価項目を作る際には、企業の目的に応じて「4つの項目」の割合が変化します。

以下に、各項目の概要を解説します。

年功評価

年功評価は、一般的にいう「年功序列」での評価を指します。

年齢や社歴をベースとしたうえで、昇給や昇格を決定する考え方であり、従来より日本ではこの評価方法が主流でした。

しかし昨今では、年功評価だけで昇給・昇格を決定するケースは減っています。

能力評価

能力評価とは、業務の遂行する能力をベースに、評価を実施する手法です。

社員が保有するスキルや経験をもとに、評価を実施します。また、職務の遂行で発揮した(発揮できる)能力のみが「能力評価」の対象です。

営業成績などとは異なり「短期間で分かりにくい」特性上、長期的な社員の育成を目的とするケースも多く見受けられます。

職務評価

職務評価とは、各職務の内容や特徴を分析し、その大きさを相対的にはかる手法です。

(※人事評価とは違う点に注意)

職務評価の結果は、職務体系の見直しといった経営改善に役立てられます。また内容は、職務記述書にまとめるケースが一般的です。

役割評価

役割評価とは、社内やチーム内での役割に対して評価を決定する手法です。

役職は関係なく、あくまで仕事内容に軸を置く点がポイントです。仕事の難易度や責任の度合い、期待に対する結果で評価されます。

評価基準を設計する5つのポイント

評価基準を設計する際には5つのポイントがあり、以下の順番で設計するとスムーズです。

STEP1、グレードを設定

評価を実施するうえで、各社員のグレードを決めることは不可欠です。ただしグレードは、企業の考えや目的によって、設定数が異なります。

グレードを設定する際には、以下のポイントを押さえましょう。

グレード数ごとのメリット・デメリット

グレード数が「多い場合」と「少ない場合」とで、以下のようなメリット・デメリットが発生します。

【グレード数が多い場合】

グレードの段階が上がると「昇格」であり、段階が下がると「降格」です。また昇格すると、役職や給与もアップするケースが一般的です。

グレード数が多いと「昇格」の機会が増えるため、うまく社員にアピールすればモチベーションアップが期待できます。

一方、昇給する機会が多い分、「大きなハードルを越える達成感」を得にくいことがデメリットです。

【グレード数が少ない場合】

グレード数の少なさは、昇給の機会が減ることを意味します。

そのため、グレード数が上がり昇給した際には、達成感を得やすいといえます。人事担当者としても、グレード数が上がった際の対応が減るため、負担が減る点もメリットです。

一方なかなか昇給しないため、従業員のモチベーションが上がりにくく、従業員に対するモチベーションアップの仕組みを用意するデメリットがあります。

【グレード】と【役職】を一致させる

グレードを設定する際には、「グレード」と「役職」を一致させる点も意識しましょう。

なぜなら、グレードを一致させないと、以下のような問題が発生するからです。

★評価基準を別に用意するため、煩雑な対応が求められる

★上位のグレードに非役職者がいるなど、評価に矛盾が生じる可能性もある

★社員に対して、納得のいく説明をしにくい

企業としては「温情的処置」のつもりであっても、逆効果になる可能性が高いでしょう。

グレードの段階数は最低でも3つ必要

グレードの段階数を決める際には、どのような企業であっても、以下3つのステージが必要です。

・S(スタッフ)ステージ:いわゆる一般社員

・L(リーダー)ステージ:主任や係長といった「管理職」の手前のリーダー

・M(マネジメント)ステージ:課長や部長といった「管理職」のリーダー

さらにグレード数を増やすのであれば、3つのステージを基準としつつ、細分化していきましょう。

STEP2、グレードごとに仕事レベルを明確化

設定した各グレード数に対し、求める「仕事レベル」を明確化します。

たとえばMステージをM1(上位)とM2(下位)に分けた場合には、以下のように明確化します。

★M1:経営の視点をもつ、部署の戦略を考えられる

★M2:外部対応をこなす、経営者にかわって意思決定をする 

仕事レベルを明確化することで、各社員が「仕事に求められるもの」をイメージできるとともに、ステップアップに必要な要素も分かる点が特徴です。

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STEP3、業務内容を評価項目に落とし込む

冒頭で解説した4つの評価項目である「年功評価」「能力評価」「職務評価」「役割評価」に対し、評価対象とする業務内容を落とし込みます。

ポジションごとに細かく落とし込むことで、視覚的にチェックできるうえに、関係者での共通認識ができる点が特徴です。

STEP4、評価項目ごとに「評価対象とする内容」を作成

各グレードおよび、それぞれの評価項目ごとに、「評価対象とする内容」を作成します。

その際に、社員がステップアップするために「どう行動すれば良いか」も具体的に提示すると良いでしょう。

各グレード・評価項目ごとに、細かく「評価対象とする内容」を設定することで、上司が部下に対し「どういった目標を設定すれば良いか」が分かります。

また共通認識があるため、育成・指導する際にばらつきが出にくい点も特徴です。

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STEP5、評価ウエイトの配分を設定

最後に、評価ウエイトの配分を決めます。

また、仕事の重要度ごとに配分を決めると良いでしょう。仕事の重要度ごとに分けると、評価結果を「見える化」できるうえに、関係者に共通認識として伝えやすくなります。

評価項目・評価基準を決める際の注意点

つづいて、評価項目・評価基準を決める際の注意点を解説します。

職種別に具体的な項目を設定する

職種によって、求める結果は異なります。

そのため、職種別に具体的な項目を設定することで、より有用な評価結果になるといえます。

例を挙げると、以下のとおりです。

~営業職~

・売上高

・新規契約数

・粗利率

~販売職~

・リピート率

・顧客単価

・商品購入数

~総務・人事職~

・中途採用者数

・勉強会の実施回数

・経費削減率

上記のように、各職種において「目に見える形」で具体的な項目を設定すると良いでしょう。

未来につながる内容を盛り込む

評価基準を作る背景は、「評価を適切に実施したい」という思いがあります。評価を適切に実施したい理由は、会社の持続的発展を目指すからです。

つまり評価基準を作ることで、未来につなげたいという流れに結びつきます。そのため、評価基準には「未来につながる内容を盛り込む」ことが欠かせません。

現状の「社内全体におけるレベル」を把握し、5年後や10年後といった未来に対し、理想とする社員像を想像すると、未来につながる内容を思い浮かべやすいでしょう。

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まとめ

評価項目・評価基準は、グレードや4つの評価項目である「年功評価」「能力評価」「職務評価」「役割評価」に配慮しつつ設定します。

下記より、全業種で使える「評価項目サンプル」を無料でダウンロードできます。
人事評価項目の見直しの参考にしてください。

また当記事で紹介したSTEPに沿うことで、評価項目・評価基準を設定しやすくなります。同時に人事評価システムを活用することで、経営者や人事担当者の負担が減り、実際の評価もスムーズに実施できるでしょう。

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