人事考課で適切な昇給を!能力評価以外に意識すべきこととは?

人事考課は、従業員の昇給と密接につながっています。さらに昇給は従業員のモチベーションも左右するため、重要な意味を持ちます。

しかし、人事考課と昇給の適切な関係性について、悩む企業は多いと言えます。

そこで当記事では、人事考課で適切な昇給をおこなうポイントについて解説します。また、能力評価にウエイトを置きがちな「人事考課」について、他にも意識すべき要素も紹介します。

人事考課で適切な昇給を目指す場合には、ぜひ参考にしてください。

人事考課とは?

人事考課とは経営者や管理職が、各従業員の「貢献の度合い」や「能力」を査定する制度のことです。人事考課での結果は、給与やボーナス・昇進/降格などに影響することも特徴です。

また「人事考課」は「人事評価」と表記されることもあり、多くの企業で同義語と捉えています。そのため、意味合いは同じ認識で問題ありません。

人事考課の目的

人事考課には、2つの目的があります。

【目的1:従業員の成長を促進する】

従業員の行動や成果をもとに、良い点・悪い点をフィードバックすることで、従業員に「気づき」や「前向きに行動するきっかけ」をつくることが可能です。

また、次のステップにつながる方法も提示できるため、従業員の成長を促進できます。

【目的2:給与・昇給に反映する】

人事考課で査定された「評価結果」にもとづき、給与や昇給の金額に反映することも、人事考課における目的の1つです。

頑張りが金額に反映することで、モチベーションの向上が期待できるため、適切な人事考課が必要だと言えます。

人事考課とつながる「昇給」の種類

昇給とは、企業で定めた賃金制度にもとづき、従業員の賃金を増額する制度です。なにを基準にするか(勤続年数・成果など)は、企業によって異なります。

また昇給には、以下のような種類があります。

定期昇給定期(=決まった時期)に実施される昇給のことです。たとえば、3月の決算などに応じて、4月に昇給が実施されます。
考課昇給人事考課で査定を実施し、その結果にもとづき昇給をおこないます。必ず昇給するわけではなく、賃金を上げた方が良いと判断された場合のみ、昇給が実施される点もポイントです。
臨時昇給通常の昇給とは別に、臨時で実施される昇給のことです。企業が大きな功績をあげた際などに実施されます。
自動昇給勤続年数をもとに自動で実施される昇給のことです。成果や能力には関係ありません。

当記事で取り上げる「人事考課で判断する昇給」は、考課昇給に該当します。

人事考課を構成する3つの要素

人事考課を実施する場合には、人事考課を構成する「3つの要素」を理解する必要があります。3つの要素は以下の通りです。

1、能力評価

2、業績評価

3、情意評価

とくに昇給は、1の「能力評価」で判断されると思われがちです。

しかし適切な人事考課には、業績評価や情意評価も必要なため、3つの要素全てにおける意識が大切だと言えます。

それでは、人事考課を構成する「3つの要素」について詳しく解説します。

1、能力評価

能力評価では、業務を遂行するうえで必要な「スキル」や「知識」をはかります。同じ仕事をしても、能力が高い人の方が評価も高いことが特徴です。

「企業にどれだけ貢献できたか?」や「目的をどれだけ達成できたか?」といった内容が評価の基準になります。

企業によっては目に見える能力だけではなく、以下の能力を評価するケースもあります。

潜在能力
表面には現れず、内部に潜む能力のことです。基本的には本人も気づかない能力を指します。今後の成長や将来性をはかれることが特徴です。
発揮能力
自身が保有する能力を発揮するために、必要とする能力を指します。積極性・協調性・責任感などが該当します。

2、業績評価

業績評価では、文字通り「業績」で評価されることが特徴です。業績評価には「結果」だけではなく、途中の過程である「プロセス」も反映されます。

また企業によって、結果とプロセスのバランスは異なります。結果を重視する企業もあれば、プロセスを重視する企業もあるでしょう。

業績評価に対し「結果」にウエイトを置く企業は、とくに人事・製造・購買といった、【結果が見えにくい部署】への対応も考える必要があります。

なぜなら、営業のように「契約数や売上といった数値」で判断できないからです。

業績評価の「結果」に重きを置き、昇給にも反映している場合には、結果が見えにくい部署のモチベーションが下がる傾向にあるため注意が必要です。

3、情意評価

情意とは「感情や思い」を指します。情意評価では、仕事を遂行するうえで「どれだけ熱心に思いを込めて働けたか?」を評価します。

仕事に対する基本的な「姿勢」や「取組み」も問われることが特徴です。

前述の「能力評価」や「業績評価」とは異なり、従業員の人間性が重視されるため、以下のような要素が判断材料になります。

・協調性

・思いやり

・積極の度合い

・規律を守る力

また情意評価は、評価する人(基本的には上司)の感情が入りやすいため、好き嫌いで評価が反映されると、従業員の不満につながります。

評価が昇給に結びつくのであれば、なおさらです。

そのため、好き嫌いが露骨に反映されないよう、仕組みをつくる必要があります。

人事考課で「適切な昇給」のために必要なこと 

人事考課で「適切な昇給」を実施するために必要なことは、以下の通りです。

1、人事考課の目的を統一する

適切な昇給を実施するには、人事考課の目的を統一する必要があります。

なぜなら、昇給には「金額を上げる」相応の理由があり、その理由は「企業の目的を達成すること」と紐づく必要があるためです。

「昇給」と「企業の目的」がリンクすることで、従業員への納得感や人事考課を実施する意味にもつながります。

以下の内容を、従業員と企業の双方が共通認識することで、企業の目的を達成するための組織づくりができます。

・企業が達成したい目標

・どうすると評価されるか?(=評価の基準)

また「企業が達成したい目標」と「評価基準」について、従業員にも周知することで、人事考課の適切さが増します。

2、人事考課を制度化する

人事考課を実施する際に、査定をする上司などの「個人の主観」にもとづくようでは、意味がありません。

なぜなら「個人の主観」は曖昧であり、人によって査定内容も異なるため、人事考課の質を一定に保てないからです。そのため、誰が査定をおこなっても公平に機能するよう、努力の必要があります。

公平な人事考課を実施するには、人事考課の制度化が必須です。

制度化には、最低でも以下の準備が必要です。

ルールの制定
人事考課の「3つの要素」である能力評価・業績評価・情意評価において、それぞれのウエイトや詳細な項目を用意します。また、昇給との反映方法も定めます。
運用方法の制定
前述の「ルールの制定」で作成されたルールにもとづき、どのように運用するかを定めます。フィードバックの方法も制定することが望ましいです。

また制度化をスムーズに実施するには、人事システムといった「専用のシステム」を利用すると確実・効率的です。

3、従業員の納得感を高める

従業員の納得感が低くなると、意欲の低下や離職につながります。そのため、人事考課を実施する際には、従業員の納得感を高めることが大切です。

人事考課で適切な昇給ができていれば、従業員は「正当な判断をしてもらえている」と感じます。正当な判断だと思うと、人事考課に対する納得感につながります。

納得感が高まると、従業員の「モチベーション」や「エンゲージメント」も高まるため、人材の定着率の高まりや、作業効率の向上が期待できるでしょう。

まとめ

人事考課と昇給は、密接に結びついています。そのため、人事考課のルールや運用方法を定め、適切に昇給をすることが重要です。

人事考課の「ルールづくり」や「実際の運用方法」は、煩雑な内容も多く、人事や総務の担当者が独自に管理をすると、多大な労力がかかります。

そのため、人事評価システムを活用することで、スムーズかつミスのない運用が可能です。

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さらに「評価ポイント」と連携をすることで、日報などで記録された従業員の行動ログをもとに評価が可能になるため、昇給基準が明確になり従業員からの納得感を高めるのにも役立つでしょう。
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