人事考課とは?評価制度や検討事項の全体像を解説

「人事考課って、そもそも何?人事評価との違いは?」

「人事考課を行うには何からはじめるべき?」

現在、多くの企業で取り入れられている人事考課。人事考課とは一体何なのかを理解しておくことで、制度を見直す際や、これから人事考課を導入する際にも参考になるでしょう。

この記事では、人事考課とは何かを知りたい方に、全体像をわかりやすく紹介します。

人事考課の全体像は5W1Hで整理する

人事考課とは、従業員の業務実績やスキルなどを一定の基準で評価し、査定することです。主に役職や給与を決める判断材料として用いられます。人事考課よりも広い意味合いを持つ「人事評価」や「評価」と呼ばれることもあります。

人事考課の基準や項目は企業ごとに様々なので、一から細かく説明するのは非常に困難です。ただ、人事考課はマネジメントの根幹とも言える人事制度なので、ここで理解を深めておけば、企業の成長にも繋がります。まずは人事考課とは一体どういうものなのか、全体像をつかみましょう。

以下の要素をふまえながら、人事考課の全体像を整理していきます。

  • Why(なぜ)目的
  • What(何を)評価基準や評価項目
  • Who(誰が)評価者と評価フロー
  • How(どのように)評価方法
  • When(いつ)評価を行う時期
  • Where(どこで)評価や面談を行う場所

Why(なぜ):人事考課の目的

まずは、なぜ人事考課を行うのか、その目的について解説します。

主な目的は「査定」

人事考課を行う主な目的は、査定であると言えます。

人事考課の結果は多くの場合、給与や賞与、もしくは昇格・昇進などの待遇面の決定において、大きな参考材料となります。

人材育成

人事考課は査定だけではなく、人材育成にも大いに役立ちます。

人事考課の評価方法のひとつ「能力評価」を行うことで、社員が自身にどのようなスキルが必要なのかを客観視させることができます。そして年度をかけてスキルを伸ばしていくよう促すことも可能です。

また「目標評価」を行うことで、企業の経営目標を軸に、従業員自らすすんで業務目標を立てて実行し、管理をするといった経験を積ませることもできます。

異動の参考材料にも

また適材適所への異動を決める際にも、人材を見極める材料として活用できます。異動の主目的は、人材の育成と人員の適正配置にあります。主に能力評価の結果を活用することで、誰をどの部門におくべきかをロジカルに考えることが可能です。

上司と部下とのコミュニケーションの場にも

人事考課における面談を通じ、上司と部下の間にコミュニケーションの時間が生まれます。上司と部下の間で信頼を深める場としても有用です。

What(何を):人事考課の評価基準と項目

人事考課により従業員を評価する基準としては、主に次の4点があります。

  • 業績評価
  • 情意評価
  • 能力評価
  • コンピテンシー評価

企業によっては、すべての評価基準を設けているところもあれば、どれかひとつだけを設けているところもあります。

業績評価

評価期間中にあげた業績や成果を評価します。たとえば、あげた業績、目標の達成度、組織目標への貢献度といった項目が評価の対象です。

情意評価

勤務態度や意欲といった、業務に対しての行動や取り組む姿勢を評価します。たとえば、チームワークや責任感なども評価の対象です。

能力評価

従業員が持つ、業務に必要なスキルや能力を評価します。たとえば、業務を行う中でどのくらいスキルを習得し、発揮されたのかも併せて評価します。

コンピテンシー評価

ハイパフォーマーの優れた行動特性に基づき、その実現度を評価します。スキルの保有ではなく発現に重きをおくのが特徴です。中には能力評価と統合して実施している企業も存在します。

Who(誰が):評価者と評価フロー

人事考課では何を評価するかに加え、誰が評価するかも重要となります。

誰が評価するのかは、以下のようなパターンに分けられます。

  • 自己評価
  • 直属の上司による評価
  • 課長や部長による評価
  • 多面評価(360度評価)

自己評価は、従業員が自身を評価します。直属の上司、課長や部長、加えて同僚などが評価する多面評価など、他者が関わる場合には、主に面談や評価シートを用いて評価を決めます。

もちろん自己評価だけでは客観的な評価がしづらく、公平性に欠けてしまう可能性があるため、自己評価のみではなく、他者による評価がセットとなります。

また、評価者だけではなく、その評価の順番をどうするかについても決める必要があります。

複雑な評価フローにすると手間がかかり、通常業務に支障をきたすことも考えられます。余計な課題が生まれないよう、あらかじめ無駄のない評価フローを作成することが大切です。

How(どのように):評価方法

評価者が日常の仕事を通じて、どのように評価するのかをしっかりと決めましょう。

評価材料をどのように手に入れ、何をもとに判断し、どのようなツールで評価するのかを企業内でルール化していきます。ツールについては、エクセルのほか専用の人事評価システムを活用する場合もあります。

評価基準を揃えるために、評価者教育や評価者会議などを行うかどうかについても検討が必要です。

When(いつ):評価時期

人事考課は行う時期は、いつ頃、どのような頻度で行うと良いのでしょうか。多くの企業では、概ね半年~一年に一度実施します。年度を4月はじまりとする会社が多いため、半年に一度評価を行う会社では、4月~9月を前期、10月~3月を後期とするケースが多いようです。

人事考課をはじめる際は企業の決算期間と連動させるのが望ましいとされているので、今後人事考課を導入する企業は、決算タイミングを実施時期の基準にすると良いでしょう。

半年~一年にかけて評価を行う理由は何なのでしょうか。それは、あまり頻繁に行うと業務量が増えてしまい、通常業務が回らないリスクがあるからです。しかし評価期間が長すぎると、最初に立てた目標を忘れることや、はじめの頃の印象が薄くなってしまうといったデメリットがあります。

Where(どこで):評価や面談を行う場所

ついつい忘れてしまいがちですが、人事評価を行う場所選びも重要です。

当然、人事評価は機密情報ですので、慎重に扱う必要があります。評価者が評価シートに記入している時は、他の従業員にのぞかれないよう配慮しなければなりません。

また、面談を行う場所も大勢の目に留まる場所ではなく、静かに2人きりで話せる環境が望ましいでしょう。

人事考課と目標管理制度(MBO)

人事考課とよく混同される制度として、目標管理制度(MBO)があります。

目標管理制度とは、従業員自身が目標を立てた上で取り組み、遂行できた達成度を評価するマネジメント方法です。主に、組織や個人の目標達成と業務に対するスキルアップ向上を目的としています。この制度は、1956年に経営学者であるドラッカーが、日本で初めて提唱したとされています。

二つの制度はそれぞれ目的が違うことから、一般的に目標管理制度と人事考課を組み合わせて行われています。

人事考課で「できないこと」

人事考課を成功させるには「できないこと」を理解しておくことも大事です。

人事考課だけで、すべての課題を解決しようとするのは避けた方が良いでしょう。

考えられる「できないこと」として、以下の要素が挙げられます。

良い行動にすぐに報いること

人事考課は一般的に半年から一年にかけて評価を行います。評価の対象期間が長いので、社員が望ましい行いをした場合に、すぐに報いることが難しいです。
そこで、 業務への貢献を定量的に評価し把握する「仕組み作り」 が重要視されます。例えば、 実際の業務で発生するタスクや社員に促したい行動を「社内提案」や 「ボランティア」 などの形で一覧にし、管理ツールを通して従業員がそれらの評価に繋がる行動を取った時に、リアルタイムに評価することが可能です。
これにより、長期的な評価を定量的な評価として把握することができるだけでなく、リアルタイムな評価によって従業員の承認欲求を満たし、モチベーション向上へ繋がげることができます。

人事評価システム第1位【評価ポイント】| 株式会社シーグリーン

人事考課エラーの発生を完全になくすこと

人事考課を行う際には、次のような評価エラーが起こりやすいとされています。

ハロー効果 ある部分の印象が強すぎることで、すべての印象に影響し、優劣どちらかに偏ったり歪んだりしてしまうこと。
中心化傾向 評価項目に対して優劣がつけられず、標準の評価が多くなってしまう現象のことです。自分が下す評価に自信がない場合に陥りやすい。
寛大化傾向・厳格化傾向 評価に対しての優劣に関わらず、全体的に甘くなったり、厳しくなったりする傾向のこと。
論理誤差 別々の評価項目でも、似ている評価項目同士を論理的に関連付けてしまい、同じ評価や似た評価をしてしまうこと。
対比誤差 はじめに決められた基準ではなく、評価者自身を基準に評価してしまうこと。評価基準が曖昧になり、過大評価や過小評価に繋がってしまう。
期末誤差 決められた期間全体を通して評価するべきところを、評価時期に近い部分の印象のみで評価してしまうこと。

それぞれに対策を打つことは大事ですが、評価はあくまで「人」が行うものです。完全になくすことは難しいことを念頭においた上で、評価エラーありきの制度設計を行う必要があります。

また上記の評価エラーに加えて、評価者との率直なコミュニケーションが取りづらいといった点も挙げられます。評価をする側とされる側になることで、どうしても上下関係が生まれてしまうからです。

評価者との人間関係が円滑になるよう、1on1ミーティングなどの手法を上手く取り入れてみましょう。

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人事考課の特徴を理解し、自社にあった運用をしよう

今回は、人事考課の全体像や、考え方と特徴についてご紹介しました。

人事考課を取り入れ適切な評価を行うことで、従業員の給与や役職に反映させたり、モチベーションの向上や人材育成に役立てたりと幅広く活用できます。

体制作りについては、従業員に人事考課の目的や、評価基準を正しく理解してもらい、よりスムーズな人事評価を行えるようにすることが望ましいでしょう。

また実際に人事考課を行ってみると、評価フローを回したり記録したりといった、評価業務の実施に労力がかかることに気づくはずです。

そのため早い段階でエクセルでの運用を脱却し、人事評価ツールを上手く活用し、作業効率のアップを検討してみることをおすすめします。

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