人事評価を行う上で理解すべき、3つの評価基準とは?

人材を評価し、昇給や昇格などにつなげる「人事考課」。

この人事考課制度を新しく導入する上で必要なのが、評価基準の設定です。

この記事では、人事考課における代表的な評価基準について解説します。

人事考課における「3つの評価基準」とは

人事考課には3つの評価基準があります。

  • 業績評価(社員のあげた業績や成果に関する評価)
  • 能力評価(社員の持つ能力に関する評価)
  • 情意評価(社員の仕事へのやる気、取組姿勢に関する評価)

ここからは、ひとつずつ詳しく解説していきます。

業績評価とは「社員のあげた業績や成果に関する評価」

業績評価は業績や成果に関する評価です。一定の期間内で、社員がどのような業績・成果をあげたかを評価します。

業績評価の特徴は、定量的な評価を行いやすく、透明性を担保しやすい点にあります。また、会社の業績と社員のパフォーマンスの関係が説明しやすく、業績の向上につなげやすい点も大きな特徴です。

たとえば営業部門であれば、「◯万円の売上をあげた」といった成果が評価されます。開発部門であれば、「◯万円の商品を作った」などです。このように、売上で成果を説明しやすい部署には、業績評価が向いています。

一方人事や経理、バックオフィスやカスタマーサポートなどの間接部門ではどうでしょうか。このような部門の場合でも、業績評価を用いることは可能です。

たとえば「業務改善により◯時間を削減した」「クレームを◯%減らした」「顧客満足度を◯%向上した」「費用を◯万円削減した」などです。

業績評価の優れた点は、成果をあげる優秀な人材や結果を出す社員に対し高評価を示せる点にあります。会社の業績に貢献すればするほど評価されるため、実力のある社員は納得できる評価結果となり、モチベーションがあがり人材の定着が期待できます。

また組織の抜本的な意識改革にも有効です。特にこれまで業績や個人の成果を重視せずにいた組織においては、業務に取り組む真剣さやハングリー精神を失っている場合があります。そのような組織に刺激を与えるためにも、ある種のカンフル剤として業績評価を導入することは有効かもしれません。

一方いまいち努力と業績が結びつかないような伸び盛りの社員にとっては、業績評価は苦しく映ることも。また地味でも運営に必要なルーティンワークを行うことで会社を支えている社員や、サーバーエンジニアやインフラ管理者のような、事故が起きないことが第一である職種には、業績評価は向いていない場合があります。業績評価を重視するがあまり、これら企業において大切な仕事を担う社員が軽視されてしまうこともあるのです。

そのため、次に紹介する能力評価や情意評価も加味し、また部門によっては評価の重みを変えるなどの工夫が必要となります。

能力評価とは「社員の持つ能力に関する評価」

能力評価とは、社員の持つ能力に関する評価です。

能力評価では、問題解決力や行動力など、業績・結果を生み出すプロセスやスキルに対して評価を行います。その部門や職種の業務遂行に必要とされる能力を評価項目とし、1~5などの数値で評価していきます。

能力評価の主目的は、長期的な人材育成の実現にあります。能力評価では、部門や職種ごとに目指すべき人材像とそのスキル値を定め、評価と目標設定を繰り返しながらその値を上昇させていきます。

先に紹介した業績評価では、目立った業績をあげていない伸び盛りの社員や、いわゆる「守りの部門」とされるような職種の社員は評価しづらい問題がありました。しかし能力評価では、持っている能力や伸びた能力について評価を行うことができます。つまり、定量化しやすく目立った成果をあげていない人にもスポットライトを当てることができるのです。

ちなみにこの能力評価では、「社員の保有する能力そのものを評価するパターン」と「その能力を発揮したことを評価するパターン」の2種類を、明確に分けて考える必要があります。

保有する能力について評価する場合はペーパーテストや保有資格などで測ります。一方能力の発揮に重点をおく場合は、コンピテンシー評価を運用します。

能力を保有することも大切ですが、それを業務のために発揮してこそ成果が生まれます。どちらの方針だとしても、社員にどのような能力が評価されるのかわかりやすく示すことが必要です。

【関連】コンピテンシーを活用した経営戦略と人事制度 | ヒョーカラボ

情意評価とは「社員の仕事へのやる気、取組姿勢に関する評価」

情意評価とは、仕事へのやる気や勤務態度、取組姿勢に関する評価です。

会社は人の集合体です。そのため、単純に業績をあげ、高い能力を持っていることを評価していたのでは、組織の運営が難しくなる場合があります。そのため、集団の中で良い影響を与える勤勉さやモチベーションの高さ、社会人としてのマナーなどに関する情意評価も行うことで、集団としての規律や統制を保つことが可能です。

情意評価の難点は、評価者といえども人間であり性格は様々であるため、評価者好みのスタイルが高評価を得やすいという点です。しかし逆に言えば、経営理念を理解し社員のモチベーションから業績の向上を目指す評価者であれば、適正な評価を行えることでもあります。

良くも悪くも会社の社風を左右し、社風により運用の是非が決まる、それが情意評価なのです。

3つの評価基準を組み合わせ、自社にあった運用を考えよう

この記事では、日本において一般的な、3つの評価基準「業績評価」「能力評価」「情意評価」について解説しました。

3つ全てを完璧に運用することより、会社の特色にあった割合で運用することが望ましいでしょう。これから人事考課を導入する会社は、まずはどれか一つだけからはじめてみるのも悪くありません。

その上で制度設計に悩んだ場合は、企業の経営理念や事業戦略を確認してください。その上で、自社の課題を分析すれば、おのずとどのような基準で人材を評価していけば良いかがわかるはずですよ。

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