従業員エンゲージメントとは – 向上させる手法「1on1ミーティング」

従業員エンゲージメントは、従業員による企業への愛着心を表す指標です。従業員エンゲージメントが 高ければ企業に好意をもっており、低い状態では良い印象を持っていないと判断できます。人事の担当者は従業員エンゲージメントを利用すれば、従業員の企業に対する関心を確認できます。

そんな従業員エンゲージメントの重要性や向上させる方法を確認していきましょう。適切な施策で従業員エンゲージメントを高められれば、従業員との関係性を改善できます。従業員と良好な関係性を築きたいあなたはぜひチェックしてください。

従業員エンゲージメントの意味

従業員エンゲージメントの前に、エンゲージメントの意味を確認しましょう。また比較されることの多い「従業員満足度」もあわせて解説します。

エンゲージメントの意味

エンゲージメントは英語のengagementに由来します。約束や契約といった意味で「エンゲージメントリング」のように結婚を表す言葉としても用いられます。最近ではTwitterやInstagramの投稿における反応という意味でも使われます。さまざまな意味のあるエンゲージメントですが、ビジネスで使用される際は次のような意味を持ちます。

エンゲージメントとはブランドに消費者が積極的に関与することで構築される、ブランドと消費者との間の絆のことをいう。
コトバンクーブランド用語集の解説」から引用(2019/9/21時点)

つまり、ビジネスで使われるエンゲージメントという言葉はブランドと消費者の目に見えない「約束」を表します。

従業員エンゲージメントの意味

人事の現場ではエンゲージメントより「従業員エンゲージメント」のほうが聞きなじみがあるでしょう。従業員エンゲージメントはエンゲージメントの「消費者」を「従業員」に置き換えかえます。

ブランドと消費者の絆ではなくブランドと従業員の絆、すなわち企業と従業員の絆を表します。誤解を恐れずに言えば従業員の愛社精神と言いかえられます。従業員が自社に対して抱いている好意を意味するため、従業員エンゲージメントが高ければ従業員は企業に良い印象を抱いていると考えられます。

なお「従業員エンゲージメント」=「エンゲージメント」としている企業や人事担当者もいますので、エンゲージメントや従業員エンゲージメントという言葉を使用する際にはあらかじめ確認しておきましょう。

従業員満足度との違い

従業員エンゲージメントと似た言葉に「従業員満足度」があります。従業員満足度は、従業員が企業にどれだけ満足しているかを表します。そのため、従業員エンゲージメントと従業員満足度ではやや意味が異なります。

従業員エンゲージメントは企業と良好な関係を築けているかを表す指標なので、従業員が満足していなくても従業員エンゲージメントが高くなるケースはあります。企業の現状に満足していないものの改善に期待しているないし自ら改善しようという意思が見られる場合は、従業員満足度が低くても従業員エンゲージメントが高いと言えます。

反対に従業員が現状に満足し企業に興味を持っていない状況では、従業員満足度が高くても従業員エンゲージメントが低くなるでしょう。従業員エンゲージメントと従業員満足度に優劣はありません。ケースバイケースで使い分けましょう。

従業員エンゲージメントの重要性

従業員エンゲージメントは近年人事担当者の間で注目されているワードです。ではなぜ注目を集めるようになったのでしょうか。その背景には日本ならではな要因が3点あげられます。

  • 労働人口の減少
  • 労働に求める条件の変化
  • 主体性の重要度が上昇

労働人口の減少

日本は少子高齢化で労働人口が大幅に減少している国の1つです。1990年から2016年にかけての労働力人口(15〜64歳の人口)を比較すると約13%も減少しています。1,000万人以上減っておりこの数値は企業の採用状況にも大きな影響を与えています。労働力の確保は企業にとって死活問題と言えるでしょう。

1990年 2016年
0〜14歳 22,544 15,676
15〜64歳 86,140 75,158
65歳以上 14,928 34,258

表:1990年と2016年における日本の年齢別人口(単位:千人)

総務省統計局「人口推計 / 長期時系列データ 我が国の推計人口(大正9年~平成12年)」「平成27年国勢調査結果確定人口に基づく改定数値(平成27年10月~28年6月)」を編集して掲載

少ない労働力人口から優秀な人材を雇用するために人事担当者は懸命に採用に取り組んでいます。しかし採用できても早期に転職される可能性があります。優秀な従業員により長く自社で働いてもらうために企業へコミットメントする社員が求められています。つまり従業員エンゲージメントを計測し高い水準を維持しなくてはなりません。

労働に求める条件の変化

変化したのは労働力人口だけではありません。マイナビが社会人300名に行った調査によると、仕事に求めている条件で最も多くの人が回答したのは「やりがいがある(33.0%)」でした。2位と3位には「給料が良い(20.0%)」「良好な人間関係(18.0%)」が続きます。2012年に実施された調査ではありますが、給料と同等かそれ以上にやりがい・良好な人間関係を求める考え方が主流になりつつあります。

かつては生活を支えるための労働だったにもかかわらず、近年は労働の環境そのものも重要視されるように変化しています。給料を上げさえすれば従業員のモチベーションを担保できる時代ではなくなりました。労働に求める条件が多様化した現代において従業員エンゲージメントを重視するのは、施策が適切か判断する1つの指標になるでしょう。

主体性の重要度が上昇

現代は昔より主体性を求められる時代といっても過言ではないでしょう。総務省によると2010年6月から2016年12月にかけて、移動体通信のダウンロードトラヒックは24倍以上に増加しています。平たく言えばスマートフォンやタブレットによる通信量が急激に増加したということです。

情報量が増加したことはビジネスにも多大なる影響を及ぼします。今までは長年の勘で作業していた業務はデータに基づいた判断が可能になり、正確かつスピーディに遂行できるようになりました。その反面、データが頻繁に入れ替わるため状況の変化へ迅速に対応する必要があります。

上司の判断を仰いでいる時間がない中で決断をしなくてはならない、主体性はそのような状況下で求められます。上司に逐一確認をとらずとも、企業やプロジェクトの方針にもとづいて仕事を進められる能力はいわば主体性と同義です。しかし主体性は事業への理解なくしてなりえません。そのため主体性を育てる前に従業員エンゲージメントが高い状態を作ることが必要です。

従業員エンゲージメントを向上させるための要素

では従業員エンゲージメントを向上させられるにはどうすればよいのでしょうか。環境を整えたり良好な人間関係を築いたりすることも重要ですが、以下の3点はどの従業員にとっても必要不可欠な要素だと言えます。

  • ビジョン・ミッションの浸透
  • コミュニケーションの円滑化
  • 成果の提示・正当な評価

これら3つがなぜ従業員エンゲージメントを向上させるカギになるのか見ていきしょう。

ビジョン・ミッションの浸透

ビジョン・ミッションが従業員に広く知れ渡っていること、また従業員の考え方と一致していることは従業員エンゲージメントを高めるうえで重要な要素です。

ビジョンやミッションはいわば会社の向かうべき姿です。自社はかくあるべきか、そのためにはどのような事業をなすべきかはビジョン・ミッションがもとになって決定されます。会社の向かう先を明確に示していること、また広く認知させていることは従業員がすべきことを明確にするうえで重要な点です。従業員が自分の仕事の意義を見失わないために、ビジョン・ミッションの浸透は欠かせません。

注意すべきは従業員を採用するときです。企業と従業員のビジョン・ミッションが一致している場合のみ採用しましょう。たとえ企業のビジョン・ミッションが従業員に知れ渡っていたとしても従業員のやり方にっていなければむしろ逆効果です。従業員が自分ごとのように企業を案じコミットメントするには、企業と従業員の間でビジョン・ミッションにズレは許されません。

コミュニケーションの円滑化

従業員間のコミュニケーションが円滑であることは従業員エンゲージメントを高める大事な一要素です。たとえ直接的に従業員エンゲージメントが上がらなくても長期的に・間接的に高めてくれるでしょう。

業務をこなしていればコミュニケーションする場面は無数に存在します。タスクの進捗度合いを報告したり留意点を共有したり、問題を相談したりと他にもたくさん考えられます。ただしこれらのコミュニケーションは良好な人間関係を築けていてはじめて意味をなします。

信頼関係のない人同士でコミュニケーションをしても実りはありません。タスクの進捗が芳しくなく見栄を張るためにうそをついたり、注意されるのが面倒であるために重要な報告を怠ったりとコミュニケーションのあるべき姿が失われかねません。よってコミュニケーションを円滑にできる環境は直接的でないとしても重要だと言えます。

成果の提示・正当な評価

従業員が正確な成果を確認でき適当な評価を受けられることは、従業員エンゲージメントを高い水準で保つのに必要です。

従業員は成果を確認して企業の役に立っていることを実感します。また自分のやり方が正しいのか間違っているのか、間違っている場合はどのように改善すればよいのかを検討するのに具体的な成果が必要です。もちろん評価は正当で納得できるものでなくてはなりません。

もし成果がわからない環境で働いていれば、働く意義を見失ったり自分が成長しているのか不安になったりします。評価が正当でない場合は企業や上司に対して不満を抱きモチベーションを低下させかねません。そのため従業員の成果はわかりやすい形で提示し評価は正当に下すことが重要です。

従業員エンゲージメントを向上させる1on1ミーティング

従業員エンゲージメントを改善するには「理念とビジョンの浸透」「コミュニケーションの円滑化」「成果の提示・正当な評価」の3点を注意すべきだと解説しました。では具体的にどのような施策で従業員エンゲージメントを高めればよいのでしょうか。

以下では1on1ミーティングという手法を従業員エンゲージメントを高める手法として解説します。ヤフーやアマゾンをはじめ企業規模や国籍を問わず幅広い企業で利用されている1on1マーケティング。部下の育成にも用いられるその理由を見ていきましょう。

1on1が有効な理由

1on1ミーティングは1on1とも略されます。一般的に上司と部下の1対1の会議をさし、困っていることを共有してもらったり注意すべき箇所をフィードバックしたりして部下の成長を促します。1on1は上司と部下だけの空間でコミュニケーションでき、従業員エンゲージメントに必要な要素3つを満たしやすい特徴があります。

ビジョンとミッションの確認

1on1では部下の考え方を把握したり部下に助言したりする機会があります。部下が企業のビジョンやミッションを把握しているのか、またビジョン・ミッションに基づいて行動できているのかを確認できます。

ビジョンやミッションは意識しなければ形骸化しやすいものです。1on1で逐一確認することで部下の考え方や意識に浸透させられます。目標を達成できなかったときはもちろん達成できたときも、ビジョンおよびミッションが考え方の根底にあるかうかがうと良いでしょう。成果をもとめるあまりビジョンとミッションに反する行動をとっていないか気に留めておくことが大事です。

コミュニケーションの活性化

1on1の空間には上司と部下の2人しか在席していません。そのため人前で相談しにくい内容や少し砕けた事柄でも部下は話しやすく感じるでしょう。物静かであったり主張の強くない部下から話を聞くには1on1が適しています。

また部下は必然的に上司と話すことになるため、今まで知れなかった一面を認識し親近感を抱くと考えられます。業務中は関わりが少なく、怖い・意見の合わないと思われている上司も面と向かってコミュニケーションすれば新たな表情も知ってもらえるはずです。

成果の明示・努力の把握

部下がどれだけ仕事をしたのかどのように仕事したのかを把握しやすいのも1on1の強みです。部下から仕事の進め方や注意していることをヒアリングすれば、仕事の過程も評価に反映できます。

営業をはじめ数値で成果を計測される業務についていると未達成・達成で評価されがちですが、見えていない行動も本来は評価すべきです。数値には表れないアプローチは1on1を利用して引き出すしましょう。

1on1を効果的にするポイント

1on1は従業員エンゲージメントを高めるのに有効な手段ですが、ポイントを押さえればさらに改善できます。ポイントはいくつも考えられますが、以下では「ヒアリングを中心にすえること」「部下の考え方を受け入れること」について言及します。1on1の効果を最大限に引き出しましょう。

ヒアリング主体

1on1はともすれば部下へ説教する時間になりかねません。原因は上司の口数が多いことです。上司が一方的に話していると部下は発言しにくいと感じるほか説教がましいという印象を受けます。上司は部下の話したいことや悩みを引き出す程度にだけ話し部下から話を引き出せるよう努めましょう。

ヒアリングを主体にする際に気をつけたいのが誘導尋問にしないことです。ヒアリングだからといって選択肢がわかりきっているような質問を投げかけては上司の考え方を押し付けているのと同じです。「はい」「いいえ」の質問はほどほどにオープンクエスチョンを心がけましょう。

考え方の受容

部下の考え方を受け入れたうえでフィードバックしたり教えたりしましょう。上司が自分のやり方を部下に押し付けていては部下が尻込みしてしまいます。部下のやり方や性格をふまえたうえで1on1を実施しましょう。

1on1は部下の成長を促進する場であり上司の意見を述べる場ではありません。どのように話を展開すれば部下の成長につながるか、最近調子が悪そうであれば悩みを話しやすい雰囲気をどうやって作り出すかなど部下の行動を中心に1on1を組み立てましょう。繰り返しますが1on1は部下のための会議であって上司のための会議ではありません。

従業員エンゲージメントを1on1で高める

従業員エンゲージメントの意味や重要性、高める方法を解説しました。従業員エンゲージメントは従業員が企業に抱いている感情を垣間見える指標です。従業員が企業に対してどのように思っているのか、人事担当者としてどのような点を改善すればよいのかを検討する際にはぜひチェックしましょう。

1on1は従業員エンゲージメントを高めるのに有効な手段ですが、1on1以外にも良い方法はあります。自社の状況から判断してどのやり方が効果的か試行錯誤しながら進めましょう。

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