自律的なマインドを生み出す「エモーショナルコンプライアンス」とは

コンプライアンスの大切さを感じているけれども、社内に浸透していないと感じたり、問題が発生してお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこでご紹介したいのが、エモーショナルコンプライアンスです。

不正をするよりも正しい行いをする方が気持ちが良いですよね。
それを適正に評価され、コンプライアンスを重視するマインドが醸成されることで、コンプライアンスが形骸化することがなくなります。
エモーショナルコンプライアンスのポイントや、導入の仕方をご紹介します。

コンプライアンス(法令順守)の難しさ

社員一人ひとりが、コンプライアンスの重要性を認識し、自分事として捉えられていないと、不祥事が起きてしまいます。
不祥事を防ぐために、コンプライアンスに関する取り組みを積極的に行っている企業は枚挙にいとまがありません。
しかし、不祥事が減るどころか次々にニュースで取り上げられています。

これは、コンプライアンスの重要性が腑に落ちていないため、自分事として捉えられずに、不祥事に繋がってしまっているからです。
例えば、「コストが嵩んだり工数が増えたりするから、規則を守らない」というのは、利潤を追求するうえでは正しい姿勢かもしれません。
しかし一方で、企業が活動するうえで、社会的な責任や義務を果たすのは必要不可欠です。
コンプライアンスを無視してしまうと、会社やブランドのイメージを毀損してしまうだけではありません。
もしかすると、会社の存続が危うくなってしまうような不祥事が起きてしまう可能性もあります。
つまり、コンプライアンス対策というのは、重要なリスクマネジメントのひとつなのです。

そのため、コンプライアンスの順守は、会社を経営するうえで非常に重要な課題であり、率先して取り組むべきなのです。

コンプライアンス違反の例

残業代目当ての故意な残業やセクハラ、そしてパワハラなど、コンプライアンス違反には多彩なケースがあります。
特に経営側が注意したいのが、労務監査に当たる就業規則の設定や労働時間の管理など、労働基準法に関する個所です。

また、コンプライアンスは、社内だけではなく社外に対しても注意すべきポイントです。
社外への対応では、互恵取引にあたる仕事への影響を目的とした過剰な接待や、必要な情報を開示しないといった消費者に不利益を与える行動は違反にあたる可能性があります。

エモーショナルコンプライアンスとは

「エモーショナルコンプライアンス」は、プラスの感情により、正しいことをしようという自律的なマインドを引き出す取り組みです。
「不正をするな」という指示ではなく、社員一人ひとりが、「正しいことをしよう」と思ってコンプライアンスに向き合うことで、意味のあることや本当にやりたいことを自分で見つけられます。
それを実践することで、快適な状態が生み出され、維持に繋がるのがエモーショナルコンプライアンスへの道といえます。

エモーショナルコンプライアンスを実践するために知っておきたいこと

コンプライアンスを徹底しようとしても、浸透しないケースは多くあります。
マネジメント層が一番にすべきことは、「ルールの設定」ではなく「マインドの醸成」です。
従業員一人ひとりが、仕事に対してやりがいや意味を見つけ、夢中になることで、帰属意識が高まり、組織を維持しようというポジティブな気持ちがうまれます。
これによって、コンプライアンスを叫ばなくても、不祥事が減っていくのです。

また、コンプライアンスの定義に向き合い、「守らなければならない面倒なルール」から、収益を上げる為に重要なガイドにしましょう。
その為には、法の趣旨や目的を理解するだけではなく、「企業倫理」とコンプライアンスを一体化させ、全社員に定着させるよう努力する必要があるのです。
従来のトップダウン型のコミュニケーションではなく、「巻き込み型のコミュニケーション」に舵を取り、周囲の共感を得ながら自発的に参加するように促しましょう。

エモーショナルコンプライアンスにおける大切なポイント

先ほどお伝えしたように、コンプライアンスを浸透させるためには、社員一人ひとりが自分事として捉えることが重要です。
その他にも、いくつかのポイントがありますので、以下にまとめてご紹介します。

社員の行動基準を制作する

行動基準を制作することで、コンプライアンスに対する意識を啓発することができます。
ルールや規範を設定する際には、「現場の実態に即したもの」にしましょう。
折角設定したとしても、工数が掛かり過ぎたり、現場の実態を踏まえていない場合、形骸化してしまうケースが珍しくありません。

恐怖でコントロールしない

減点方式による締め付けは、エモーショナルコンプライアンスの対極に位置します。
恐怖でコントロールしようとせずに、マイナス評価ではなく、正しい行動を取った人を評価するプラス評価を取り入れましょう。
また、評価が給与に繋がることで、モチベーションを高める効果が期待できます。

全社員に対して研修を行う

折角コンプライアンスの確立を目指しても、全社員に対して同じ企業倫理やルールを正しく理解させ、浸透させなければ意味がありません。
また研修で、正しいことを行うことがどれだけ喜びがあり誇らしいことかを体験することも重要なポイントです。
研修を行うタイミングは、入社時だけではなく、責任範囲や階層、そしてルールの変更時やコンプライアンス問題が発生した時などがお勧めです。
折に触れて研修を行うことにより、マインドの醸成と意識の徹底を図ることができます。

気軽に相談できる窓口を設置する

コンプライアンスを心がけている人が、正しくない行いをしている人たちから孤立してしまわないよう、気軽に相談することができる窓口を設置しましょう。
会社が組織として、正しい行動をとった人を評価し、トラブルに対して適切な対応をしましょう。

検証を行う

単にコンプライアンスを設定するだけではなく、適切な実施と運用ができているのか確認をし、検証を行うことも重要なポイントです。
問題が起きた際に適切な措置が取られたか確認をするだけではなく、定期的にアンケートを行って、コンプライアンスが機能しているか検証を行いましょう。

コンプライアンスオフィサーとは

ご紹介したように、エモーショナルコンプライアンスに取り組むということは、人事評価や社員教育そして給与体系など、全社的な改革をする必要があります。

そのため、「コンプライアンスオフィサー」という役職を設けて、改革を行っている企業も少なくありません。
エモーショナルコンプライアンスを取り入れたいとお考えの方は、コンプライアンス体制や取り組み見直しと共に、コンプライアンス・オフィサーの是非についても、検討をしましょう。

コンプライアンスオフィサーの導入だけではなく、コンプライアンス委員会の設置や、責任者の選定を併せて行うことも重要です。
適正な運用をできる組織を構築し、運用を手助けしましょう。
会社の規模や実情によって、委員会の委員長や責任者が、コンプライアンスオフィサーを兼ねるケースも多くあります。

おわりに

ご紹介したように、エモーショナルコンプライアンスへの取り組みは、大掛かりなものになります。
しかし、経営におけるリスクマネジメントを考えた時、一番重要なポイントになるのがコンプライアンス対策です。
経営者が率先して取り組み、コンプライアンスにしっかりと向き合うことで、社内への浸透を目指してください。

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