1on1ミーティングの導入成功の秘訣とは? 4つのコツを紹介

「1on1ミーティングを導入したいけれど、何から始めればいいのかわからない」
そのようなお悩みをお持ちではありませんか?

日本でも1on1ミーティングの導入企業は年々増加しており、その先駆けとなったヤフーを筆頭に、パナソニックや楽天といった大企業からスタートアップの若い企業まで、実に大きな広がりを見せています。

とはいえ、自分たちもすぐに来月から始めよう!という意気込みだけでは、なかなか成果を上げられません。

この記事では、1on1ミーティング導入にあたっての成功のコツや、導入企業が増えている理由について解説します。

1on1ミーティング導入の成功には4つのコツがある


1on1ミーティング導入成功の秘訣は、次の4点です。

  • 短時間を頻繁に開催する
  • 何のためにやるのか、しっかり周知する
  • 上司は話さなくてもよい
  • 「いつもと違う」という演出をする

短時間を頻繁に開催する

上司と部下の信頼関係という土台を作り、部下の自立力を上げるためには、1on1を週に1回、1人15分から30分程度の実施が理想と言われています。短時間でも頻回にコミュニケーションを取ることが、お互いの壁をなくすことに近付きます。

例えば、60分など長時間の対話はお互いに気疲れしてしまうかもしれません。また、頻度も月に1回のみなど間隔が開いてしまうと、心理的な距離を縮めることは難しくなります。やりすぎても、少なすぎても逆効果なのです。

なお、対話履歴は個別に残すようにしましょう。頻繁に顔を合わせていても、1週間前の対話内容を忘れてしまっては部下からの信頼を得られません。個別の振り返りは重要です。

【参考】ヤフーはなぜ6000人の社員を巻き込む「1on1ミーティング」を続けるのか?|人事評価を考える|ダイヤモンド・オンライン

何のためにやるのか、しっかり周知する

1on1ミーティングは、あくまでも人材育成の方法のひとつです。

ふだんの面談との違いや、その目的がしっかり伝わっていないと「通常業務だけでも忙しいのに、新しい面談をする時間がない」「ふだんのミーティングだけでコミュニケーションは取れているので必要ない」などネガティブに捉えられてしまいます。

何のために1on1ミーティングを実施するのか、どのような効果が期待されるのかを、事前にきちんと周知することを心がけましょう。

上司は話さなくてもよい

部下を指導することには慣れていても、部下の話を聴くことに慣れていない上司の方も多いかもしれません。

そのため1on1ミーティングの場で何を話せばよいのかわからず、いつもの業務指導になってしまう場合や、雑談ばかりでやり過ごしてしまう恐れもあります。

実は1on1ミーティングでは、上司の話すスキルはそれほど必要ありません。

最も求められるのは、部下の話をしっかり聴く「傾聴」のスキルです。従って、悩みの解決に向けて答えを誘導するリーダーシップや、間違いを指摘するフィードバックは1on1ミーティングでは求められません。

そのため、導入開始前に評価面談と1on1ミーティングの違いを明確に伝える必要があります。併せて、傾聴スキルを上げる研修を管理職側へ行うことも有効です。

部下の成長のために、「まずは部下の話を聴く」ことが最重要であると周知を徹底するのです。上司が話を聴いてくれるという安心感は、部下の成長において大きな土台となるでしょう。

「いつもと違う」という演出をする

評価面談とは違うものであるとしっかり周知できたとしても、やはり初めての取り組みには現場も困惑することが予想されます。コミュニケーションがギクシャクしてしまうようであれば、ふだんの面談とは違う空間を演出してみるのもおすすめです。

1on1ミーティングだけのちょっといいお茶菓子を準備する、会場を社内の会議室でなく社外に出てみるなど、ふだんの面談とは違うような、気分が変わるような環境を作ることも有効ですよ。

1on1ミーティングを導入する効果とは

ここまで、1on1ミーティングを導入する秘訣について解説してきました。ところでそもそもですが、1on1ミーティングを導入すると、どのような効果が期待できるのでしょうか。

仕事へのモチベーションを上げて、離職防止につなげる

もし部下が目の前の課題に行き詰まっていたり、プライベートで大きな悩みを抱えていたりすると、業務へのモチベーションが下がっているかもしれません。

また、テレワークや出向といった働き方が広がったことで、直接会って対話する機会も減少しています。悩みや迷いを抱えていても、誰にも相談できないまま離職してしまう……。そんな事態も容易に想定できます。

このように部下のモチベーション向上や離職防止に、1on1ミーティングは有効であると考えられています。コミュニケーションを図っていくことで、悩みや課題を知り、解決へのヒントを与えるのです。

そこから、現在取り組んでいる業務の状況を改めて確認し、ゴールに向かう方法を共通認識することで、仕事に対するモチベーションを上げることができます。

エンゲージメントを向上し、業績アップにもつながる

1on1ミーティングは従業員のエンゲージメントを向上させる効果があります。そしてエンゲージメントの向上は、組織の売上や純利益などの業績アップにもつながることがわかっています。

エンゲージメントとは、「従業員による企業への思い入れや相互理解の度合い」のことです。1on1ミーティングでは対話を通じ、従業員のエンゲージメントを高める効果があります。

では、エンゲージメントの向上と業績の向上には、相関関係があるのでしょうか。

企業へのコンサルティングサービスを提供するリンクアンドモチベーショングループの研究機関、モチベーションエンジニアリング研究所と慶應義塾大学ビジネス・スクール(KBS)岩本研究室は、「エンゲージメントと企業業績」に関する共同研究の結果をレポートとして公表しています。

この研究では、従業員が会社に対し何をどの程度期待しているのか、またどの程度満たされているのかを2つの観点で質問を行いました。

そしてその結果からエンゲージメントスコアを算出し、最も高いAランクからEランクまで、5段階に分類しました。

このランクごとに翌年の売上伸長率や純利益伸長率を分析したところ、次の表のような結果となったのです。

エンゲージメントスコアのランク 翌年の平均売上伸長率(%) 翌年の純利益伸長率(%)
Bランク以上 19.80% 67.10%
Cランク 4.60% -2.00%
Dランク以下 4.20% -56.70%

上記結果から、エンゲージメントスコアの向上は売上/利益向上に効果的である可能性が示唆されたのです。

【出典】エンゲージメントは業績を高めるのか-66万人のデータから明らかになった2つの関係-|HR2048|組織改善ならモチベーションクラウド

部下への権限委譲を推進し、上司の負荷を減らす

1on1ミーティングの導入は、上司の方の負荷が高まるように見えてしまいます。しかし実は、長期的に上司の負担を減らすことにもつながるのです。

一般的に、上司としての仕事は忙しいものです。特に「プレイングマネージャー」と言われるような、プレイヤーとしての仕事を抱えながらマネジメントも行う場合、部下の仕事の状況を把握しながら現場でも働くという「二刀流」が求められます。

産業能率大学総合研究所が2019年12月に発表した「上場企業の部長に関する実態調査」によると、95.8%の部長がプレイングマネージャーでした。また45.5%の部長が3年前の職場の状況と比べ「業務量が増加している」と答えています。

【出典】上場企業の部長に関する実態調査 | クローズアップ:調査・報告書 | 特集・コラム | 産業能率大学 総合研究所

年々忙しさが増す状況の中では、部下一人ひとりに権限委譲し、自分で考え意志決定できる「自律分散型組織」にシフトしていくことが有効です。そして1on1ミーティングは、部下の自分で考え意思決定する力を伸ばす効果があります。

1on1ミーティングにおいて、業務の遂行に関する意思決定を行うのは上司ではなく部下です。上司は業務遂行への手助けや指示を行うのではなく、あくまでも部下の気づきを促したり、ヒントを提示したりする役割にとどまります。

これにより、部下の自分で考え試行錯誤していく力を育むことができます。そして部下が逐一上司に指示を仰がなくても、最適な意思決定が行えるようになるのです。

導入企業は増加の一途

このように、1on1ミーティングの導入に成功すれば、組織に大きなメリットをもたらすことができます。その効果に期待し、1on1ミーティングを導入する企業は増加傾向にあります。

日本最大級の人事ネットワーク「日本の人事部」によるレポート「日本の人事部 人事白書2020」では、正会員を対象としたアンケート結果を発表しています。それによると、回答者のうち「1on1ミーティングを導入している」と答えた割合は、42.2%でした。

導入企業は従業員規模別で見てもほぼ同数で、1on1ミーティングは大企業だけが取り組む特別なもの、ではないことがわかります。また、中小規模の企業であればあるほど、実施頻度や時間を重視する傾向があることがわかりました。

【出典】1on1の導入割合は4割超。上司の傾聴力が成功の鍵に(日本の人事部) – Yahoo!ニュース

1on1ミーティングの導入はチャレンジスピリットが大切

新しいことを導入するには現場の理解と意欲が必要です。1on1ミーティングの目的とその効果をきちんと周知し、定期的に見直しを行うことも忘れてはいけません。導入後は現場に投げっぱなしではなく、マネジメント側でも定期的にフォローしていきましょう。

部下一人ひとりの成長は、長い目で見ると組織の業績アップにつながります。結果をすぐに出したいと焦らず、まずは部下の目をしっかりと見て会話をしよう、という上司の姿勢こそが、これからの時代には求められていると言えるでしょう。